“商談日とステータスしか入力されていなかった”Salesforceからの脱却|bellSalesAI導入で敷島住宅が築いたAI活用のデータ基盤
敷島住宅株式会社
執行役員 経営管理部部長 兼 滋賀支店長 柴田真一さま(写真左)、マーケティング部 課長 宮崎貴之さま(写真右)

敷島住宅株式会社(以下:敷島住宅)は、大阪・京都・滋賀を中心に新築戸建分譲住宅・注文住宅・リフォーム事業などを展開する従業員数164名を有する不動産会社です。
Salesforceを導入していたものの、入力内容は担当者ごとにばらつき、「商談日とステータスしか入っていない」案件も多いなど、商談データの信頼性に課題を抱えていました。マネージャーは案件状況を口頭ヒアリングで確認せざるを得ず、Excelとの二重管理も発生していました。
そこで同社が導入したのがbellSalesAIです。Salesforceへの活動入力量は導入前の10倍以上に増加し、Agentforce活用に向けたデータ基盤が整いつつあります。
1. bellSalesAI導入前の課題|入力が定着しないSalesforceと二重管理が生んだ現場の負担
敷島住宅では数年前からSalesforceを導入していましたが、営業現場での活用は思うように進まない状態が長く続いていました。この課題は現場だけにとどまらず、経営・現場の両面で見過ごせないものとなっていました。
1-1.「入力する理由がない」――データが埋まらなかったSalesforce
Salesforceに入力されるのは「商談日とステータスのみ」という案件も多く、データの信頼性が低いため、マネージャーが案件管理に活用できない状況が続いていたと、マーケティング部課長の宮崎貴之さまは振り返ります。
特に根深かったのは、現場に「入力する理由」が共有されていなかったことです。
——「商談内容を文字起こしする文化がそもそもなく、案件の中身は担当者とマネージャーが口頭でやり取りして把握するのが当たり前でした。Salesforceは“入力しろ”と言われても、なぜ入力するのかという理由がなく、結局は別の場で改めてヒアリングもされる。必ず入力する意味がなかったんです」(宮崎さま)
現場では、次のような課題が重なっていました。
- 入力ルールが定着せず、入力の粒度・内容が担当者ごとにばらつく
- 商談日と結果しか書かれていない案件が多く、商談内容の把握は担当者への口頭ヒアリングに依存
- Salesforceと会議用Excel(追客状況の管理表など)の二重管理が発生し、マネージャー・担当者ともに余分な工数が発生

1-2.経営・現場の両面で表面化していた課題
経営層からは「Salesforceを導入しているのに営業活動が見えない」という問題意識が示されており、現場では「入力が面倒」「忙しくて後回しになる」という意識が根強く、営業経験が豊富なメンバーを含めSalesforceがなかなか定着しない状況でした。
執行役員 経営管理部部長 兼 滋賀支店長の柴田真一さまも「SFA活用についての社内浸透度は明らかに遅く、経営・現場の両面で課題でした」と振り返ります。
2. 導入までの経緯|決め手は「シンプルさ」と「文字起こし精度」
bellSalesAI導入の検討は、Salesforceの入力課題を自動化できるツールを探していたことがきっかけでした。
複数ツールを比較検討した結果、シンプルさと文字起こし精度の高さが決め手となり、bellSalesAIの導入を決定しました。
2-1.複数ツールの比較検討
宮崎さまは当時の状況をこう語ります。
——「Salesforceを成約率が高い顧客の見える化や、案件確度の見える化、育成観点でのマネジメントに使いたいと考えていたので、入力を自動化できるツールを検討していました。」(宮崎さま)
複数のツールを比較検討しましたが、他社ツールには操作が複雑なものや、多機能な一方で自社システム(CTI)との連携が前提になるものがあるなど、営業現場への導入ハードルが高い点が課題となりました。
2-2.bellSalesAIの選定理由
最終的にbellSalesAIを選んだ理由として、以下が挙げられます。
- 営業担当者に「使ってもらうこと」を最優先したため、シンプルで分かりやすい仕組みが重要だった
- 営業担当者が顧客と商談する際に、スマートフォンアプリのボタン一つで簡単に起動できるシンプルさが最も相性がよかった
実際のトライアルを通じて、文字起こし精度の高さも導入判断の決め手となりました。
宮崎さまは「従来使っていたAIの文字起こしツールでは正確に取れなかったり、必要な箇所を抽出できないことがあった。bellSalesAIはきちんと使えるものだと確かに分かりました」と語ります。
3. 活用方法|営業スタイルに合わせた起動の工夫とマネージャーによるリアルタイムの現場把握
敷島住宅では、展示場や分譲地で顧客を案内しながら商談を進める営業スタイルに合わせ、担当者ごとに工夫してbellSalesAIを起動しています。
またマネージャーは商談Live機能を活用し、現場の商談状況をリアルタイムで把握できるようになりました。
3-1.それぞれの営業スタイルに適応した起動の工夫
敷島住宅の営業担当者は、展示場や分譲地などで顧客を案内しながら商談を進めます。そのためbellSalesAIの起動方法も担当者ごとに工夫されています。
- 胸ポケットにスマートフォンを入れて録音しっぱなしにする担当者が最も多い
- 着座での商談時には、PCで周囲の音を拾って録音する担当者もいる
宮崎さまによると、商談全体のおよそ5~6割でbellSalesAIを起動できているとのこと。
特に新卒から入社3年目までの若手層は基本的に起動しており、先輩との同行商談の振り返り・フィードバックにも活用されています。
3-2.商談Liveで実現したマネージャーのリアルタイム把握
マネージャーは商談Live機能を活用し、土日に集中する商談の状況をリアルタイムで確認できるようになりました。
商談の中身は担当者に任せつつ、ネガティブな方向に流れていないか、当日契約の場面がスムーズに進んでいるかといった点を確認する用途に役立てています。
——「商談Liveを見ていると、つい口を出したくなることもありますが、基本は担当者に任せて流れを見るようにしています」(柴田さま)
4. 導入しての成果・効果|Salesforce活用が定着し活動入力10倍超を実現
bellSalesAI導入により、Salesforceへの活動入力量が導入前比10倍以上に増加しました。
定量成果にとどまらず、現場の商談スタイルやマネジメントにも感じられる変化が生まれ、次第にさまざまな場面で活用が広がっています。
4-1.活動入力量10倍以上という定量成果
その成果が最も端的に表れているのが、活動入力量の推移です。
- 導入前(2025年5月~10月):活動入力301件
- 導入後(2025年11月~2026年4月):活動入力4190件

Salesforce連携率(入力率)も約7割まで向上。さらにEinstein 活動キャプチャによるメール連携も加わったことで、顧客のステータス画面が大きく充実しました。
——「『こんなに活動していたんだな』と分かるようになって、いい感じになりました」(宮崎さま)
4-2.副次的に生まれた効果
また、録音という事実によって商談の実態がしっかり記録に残るようになり、「言った・言わない」の認識齟齬の防止にも役立っています。
さらに営業以外への活用として、人事部にもアカウントを発行し、面接の議事録作成の手間がなくなったという副次的な効果も生まれています。
5. 営業現場の声|ベテランも驚き自発的な活用が広がる
導入当初は商談内容が共有されることへの不安を示す担当者もいましたが、使い始めると評価は大きく変わりました。現在は新卒からベテランまで自発的な活用が広がっています。
5-1.現場の抵抗から自発的活用へ
柴田さまは、導入時に現場の納得感を重視したと語ります。
——「管理が目的ではなく、成果を上げている先輩の接客から学べる、商談中にリアルタイムでフォローできる、“言った・言わない”のトラブルを回避できる、といった現場のメリットを丁寧に伝えました」(柴田さま)
こうした丁寧な説明により、「監視されているようで嫌だ」といった抵抗感も大きくは生まれませんでした。中本さまが全営業担当者に向けてbellSalesAIの起動を呼びかけたことも、全体の起動率向上につながっています。
5-2.ベテランも動かした可視化の力
現場からは次のような声が上がっています。
- 「他の担当者の商談を聞いて、自分の商談に活かしている」
- 「特定の商談の振り返りやセルフチェックが習慣になった」
- 「移動中に自分の商談を振り返れるので、次回アクションが整理される」
宮崎さまは「アナログな担当者まで超驚いています」と語ります。トップセールスの中村さまが「部下の接客確認に良い」と評価したことで、当初懐疑的だったメンバーも前向きに変わっていきました。
また、備忘録としての活用も定着しています。
6. 今後の展望|蓄積された商談データを活かしAgentforce活用へ
bellSalesAIの導入により、Salesforceへの商談データの蓄積・整備が大きく進みました。
このデータ基盤を活かし、Agentforceを用いたAI活用がいよいよ現実的な次のステップとして視野に入ってきました。
6-1.蓄積された商談データを活用したAIチャットボット構想
bellSalesAI導入前は「Salesforceを導入しているのに営業活動が見えない」と言われていたデータ基盤が、活きた履歴と商談内容が蓄積された資産へと変わりました。
その第一歩が、Agentforceを活用した取り組みです。
——「bellSalesAIで取得した1,000件以上の商談書き起こしデータをもとに、実際の顧客からよくある質問とその回答を抽出し、Agentforceを活用したAIチャットボットを分譲住宅サイトに導入する予定です」(宮崎さま)
このチャットボットは、自社の公式キャラクターをモチーフにした親しみやすいデザインで、展示場への来場誘致や、対面前の顧客フォローを支援することを目指しています。2026年7月のリリースを予定しています。[1]
[1]…インタビュー実施時点の情報。現在はリリース済み。
6-2.営業高度化に向けた次のステップ
将来的には、営業担当者へのAgentforce活用も見据えています。
bellSalesAIで整備された商談データを活かし、現状はやや粒度の粗い商談フェーズの再設計(「聞けている項目/聞けていない項目」を踏まえたフェーズ管理)や勝ちパターン分析など、AIを活用した営業高度化への取り組みを進めていく予定です。
また、Salesforceのデータを活用した社内帳票出力への切り替えも検討中で、ゆくゆくは帳票そのものをなくし、Salesforce上ですべてを確認できる状態を目指しています。
7. まとめ|「Salesforce活用」から「AI活用」へデータ基盤を整えた敷島住宅の次の一歩

敷島住宅は、Salesforceの入力定着という長年の課題にbellSalesAIで正面から取り組み、活動入力量10倍以上・Salesforce連携率は約7割まで向上という大きな成果を上げました。
「商談日とステータスしか入っていなかった」データが、営業を豊かにする資産へと変わりました。
Salesforceが「見るべきデータが集まる場所」へと変わったことで、マネージャーのフィードバックの質が高まり、若手育成も効率化され、現場の商談・マネジメントの両面で確かな手応えが感じられているといいます。
Agentforceを活用したAIチャットボットのリリースを目前に控え、同社の「Salesforce導入 → bellSalesAIでデータ基盤整備 → AI活用」というストーリーは、同じく「Salesforceの活用に悩んでいる」企業にとって、現実的な指針となるのではないでしょうか。